The Chrysanthemum and the Sword

以前Amazon.comで買った「菊と刀」の原書を読んだ。高校時代、現代文で菊と刀に出くわし、その難解な日本語に閉口した記憶がある。それ以来ずっと日本語訳の方がおかしいのではないかと思っていて、今回原書を読んでみたが、予想通り原書の文章は平易でとても分かりやすい英語だった。翻訳はホンマに信用ならんな。
菊と刀」は7世紀からの日本の歴史、明治維新、そして日本人の考え方を紹介し、"忠"、"恩"、"義理"といった概念がどれくらい日本で重要とされているかを説明した後、日本人は、「それが罪になるか否か」で行動を決めるのではなく、それが「恥になるか否か」で行動を決めるという説を打ち出している(イントロダクションで作者は"これは仮説である"と前置きしている)。これがいわゆる有名な「罪の文化」と「恥の文化」である。
私はこれを読み始める前は「罪の文化」という言葉はキリスト教の教えに基づくものであると思っていたけど、実際はこの言葉には宗教的な要素は一切入っておらず、"それが犯罪になるか否か"が行動の基準となる文化を「罪の文化」と総称しているだけだった。要するにこの作者に言わせれば現代の文化は全て「罪の文化」ということらしい。
あとこの作者が、日本が「恥の文化」であると説明している論拠がなんと「忠臣蔵」だった。"Forty-Seven Ronin"は日本でもっとも慕われている作品であり、この作品は主君への義理(=恥)を守るため、押し入り、殺人(=罪)をいとわない。これが日本で賞賛される行動なのだ。ということを説明しているのが面白い。
夏目漱石の「坊ちゃん」で、主人公がヤマアラシからカップ一杯の水を貰った恩を返そうとすることを"恩"の例として取り上げられたり、忠犬ハチ公が"忠"の例として取り上げられているところも興味深い。戦時中で情報制限されていたのによくここまで調べられたものだ。
それから「菊と刀」の"菊"は特に天皇のシンボルとは関係していなかった。菊人形やら菊の手入れをする日本の文化の平和な側面を"菊"と表現し、忠臣蔵切腹といった日本の文化の残虐な側面を"刀"と表現していた。
しかし古い本だが、取り上げられているトピックは今でも通用するものばかりだし文章構成も現代と全く変わりなくて読みやすい。原書を読むことでようやく高校時代から抱えていた長年の疑問が解けたので読んでよかった。

I finished reading English book, "The Chrysanthemum and the Sword" which was published in 1947. Before the end of WWII, it was said the war will never end and continue for 100 years. US people were still suspicious that Japan would really stop fighting. This book was pretty interesting for me that I can see how US people concerned about Japan and how much they knew at that time.