The Shape of Love

The Shape of Love

The Shape of Love

海外出張中に読み終えた。この本も3年程積ん読し、ハリポタ以上のトラウマになりつつあったので完読出来て非常に嬉しい。この書籍はバランシンの愛弟子でABTでバリシニコフのパートナーのバレリーナであったGelsy Kirklandが書いた自伝、"Dancing on my grave"の続編である。"Dancing on my grave"は日本語訳があったのだが、バランシンへの悪口(ロボットのように踊れなんておかしいなど)や、バリシニコフとのプライベート話の暴露、それからABTダンサーであるPatric Bisselにコカインに誘われて、そのまま麻薬中毒になりABTを退団するまでの経緯が赤裸々に掛かれていた。続編の"The Shape of Love"ではその後麻薬を克服し、アンソニーダウエルに誘われてイギリスのRoyal Balletにゲストダンサーとして入り、"ロミオとジュリエット"と"眠り"を踊った後に現役を引退するまでの内容が記載されている。
日本語訳が無いので中身を知りたい人用に内容を以下に簡単に記載。

  • 麻薬の克服、1984年にABTを退団した後、同じ麻薬中毒であったGregと結婚し、2年間田舎の一軒家に引きこもり麻薬中毒から立ち直った。(その間に一番の癒しになったのはクラシック音楽であったと述べている。)。その間レッスンには一切参加せず、台所で自分でレッスンはしていたらしい。
  • 2年後の1986年に現役復帰することを志し、ソリストという条件でバレエカンパニーを探したところ、Royal Balletのアンソニーダウエルから声を掛けられ、夫のGregと一緒にイギリスに渡ることになる。
  • ロイヤルバレエ団に合流し、リハビリを行う。6週間後にジュリエットとして踊るというプレッシャーの中、David Howardなどの有名なバレエ講師をアメリカから呼び寄せて勘を取り戻す。勘を取り戻した後ぐらいからJulietの愛情をどう表現するかというようなうんちくの記述が色々書かれている。
  • Julietの初舞台の状況も詳細に書かれている。舞台の最後に足を痛めてしまったが、無事初舞台を乗り切った。しかしこの痛めた足が酷くなり、結局静養しなければならなくなってしまった。
  • 静養中のGelsyに対してロイヤルバレエ団からロイヤルバレエ学校の10代の女の子を指導してあげてくれないかという申し出があり引き受ける。生徒達に対し、踊りたい演目は?と聞いたらロミオとジュリエットかジゼルと答えた。そしてこれらの2つに共通するものは何かというと、"ヒロインの相方に対する愛"だそうだ。ここでタイトルの"The Shape of Love"に関連する問答がある。バレエを演じるには愛をどうやって演じるのか? その答えとして、ヒロインは相方だけに対する愛情だけでなく、この世界全体に対する愛情を表現しなくてはいけない。この世界はどういう形をしているか?それは円だ。何故ならこの世界は地球上にあるからだ。そして舞台はどういう形をしているか?それは四角だ。なのでこの四角い舞台で円というものをどういうものにするかが大事。というような事が書かれている。
  • バレエ教師をしている間に、16才のスペイン人の女生徒であるTrinidad Sevillanoがスペインでジゼル役を踊るので指導してくれないかと依頼が入り、引き受けた。Trinidadは指導前は太っていてレッスンもやる気が感じられなかったが、Gelsyの指導で愛をどうやって表現するかを考え始める。舞台の直前でTrinidadは目覚ましい動きの改善を見せたのだが、スペインの本番では、結局Trinidadは焦って教えたことをすべて忘れてしまい、散々な出来であったと書かれている。舞台の上で蛙が跳ねている。あの生き物に対して哀れみを感じるというようなこけおろしていた。
  • その後怪我から立ち直り、ロイヤルの演目の眠りのヒロインを踊ることになった。復帰の練習に入ったが、ブランクが長く、筋力不足で体が引き上がらなくなってしまった。最後まで筋力は回復せず、リハーサル中にGelsyはこの舞台を最後の舞台にすることを決心する。
  • 眠りのリハーサル中に前に書いた書籍の"Dancing on my grave"が出版された。この時期にバリシニコフとちょうど同じ場所で出会い合わせたが、お互いに社交辞令の笑みを交わし何も話さず。そしてPatric Bissellからも電話が来て、彼は涙声で、書籍に書かれている事よりも自分はもっと酷い状態だった。麻薬の件は反省しているというような言葉をGelseyに伝える。Patricの母親からもあなたの言っていることは正しい、息子は反省すべきだという手紙が来たそうだ。しかしこの時はまだPatricは麻薬中毒から抜けられて居らず、結局その一年後のGelseyの誕生日の日にPatricは麻薬のOverdoseで亡くなってしまう。
  • 眠りの舞台が終わった後、カークランドは現役を引退してロイヤルを去ることにする。ロイヤルの人たちからは引き止められたが黙ってイギリスを去った。今後はバレエ教師として生きていくと記載。
  • 後書きに、その数年後にバレエ教師としてABTに復帰したという内容が記載されており、ハッピーエンド。

読んだ感想だが、やはりこのGelseyは嫌な性格してるなと感じる。他人の触れられたくない傷口を平気でえぐる。世の中を知らない無垢な少女だったTrinidadは特に可哀想だ。後ロイヤルを辞めた動機も薄弱だ。筋力不足というのは単なる建前で単に逃げたくなっただけなんじゃないのか。後このテーマの主題は愛であり、Gregとの夫婦の仲の良さを書きまくっているのにも関わらず、この人はこの本の出版後、夫のGregと離婚してしまうのである(参考URL)。その他文面の色々な箇所からもこの人は他人に迷惑を掛け放題の自分に甘い女性だと感じる。精神的に幼い。バリシニコフはこの女性と離れて正解だったと思う。

I finished reading "The shape of Love", I felt that the author is childish and I was frustrated by reading this book.